エヴァンゲリオンの映画一覧

エヴァンゲリオンの映画一覧

エヴァンゲリオンの映画一覧です。歴代の劇場版。「新世紀エヴァンゲリオン」は1995年秋から、テレビ東京、テレビ大阪系でテレビ番組として半年間放映されました。略称は「エヴァ」。テレビの平均視聴率は7・1%と低迷しました。しかし、その後、映画化されるころに大ブレークし、社会現象になりました。

「旧3部作」と「新4部作」

エヴァンゲリオンの映画は、1990年代に公開された「旧劇場版3部作」と、2000年代から2020年代にわたって公開された「新劇場版4部作」があります。

少年・少女の戦いと苦悩の物語

エヴァは、人間型兵器エヴァンゲリオンの操縦士に選ばれた少年・少女の物語です。 エヴァンゲリオンは、国連の特務機関「ネルフ」によって、地球を守るために開発されました。 形も能力も様々な正体不明の敵「使徒」に立ち向かいます。 西暦2015年。地球を襲った大災害(セカンドインパクト)の後の時代が舞台となります。 少年少女の戦いと苦悩が描かれます。主人公は、碇シンジ。14歳の少年です。シリーズの主な監督・原作者は庵野秀明(あんの・ひであき)です。

動画配信リスト

以下のリストは、歴代のエヴァ映画の一覧です。Amazonビデオ(プライムビデオ)やネットフリックス(Netflix)の動画配信へのリンク付きです。


■ 新4部作

新4部作は、「序・破・Q(じょはきゅう)」と「完結」の計4つで構成されています。

題名、公開日、動画配信 概要
シン・エヴァンゲリオン劇場版(シン・エヴァ)

(2021年3月8日)

予告編→

岡田斗司夫の解説→

茶一郎の解説(ネタバレ)→

初心者のための予習→
新4部作の完結編

総監督・脚本:庵野秀明
監督:鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏

シリーズ全体の完結編となった。多くの「謎解き」が行われた。 テレビ版の結末と異なり、登場人物たちの精神的解放が丹念に描かれた。 「4半世紀にわたって伸び切った伏線が、見事に回収された」(評論家・東浩紀氏)などと高い評価を得た。 長年のファンからも「大団円」との声が出た。

庵野秀明氏の自伝的なドラマとしての側面が、一段と強くなった。

実写の手法を取り入れられた。3DCGも効果的に使われた。庵野秀明氏が実写映画「シン・ゴジラ」を手がけた経験が生かされた。

キーワードとして、「ネオンジェネシス(新たな創世)」という言葉が使われている。

主人公シンジが、仲間のアスカやマリたちと最後の決戦に挑む。 戦う相手はシンジの父・ゲンドウ。 ゲンドウは「人類補完計画」で世界に終末をもたらそうとしていた。

庵野秀明の出身地である山口県宇部市が、映画でも風景が数多く登場する。とりわけJR宇部新川駅は重要なシーンの舞台となる。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

(2012年11月)

Amazonビデオ→
1時間35分。
総監督・脚本:庵野秀明
監督:摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉

冒頭、エヴァ2号機が衛星軌道上の物体を捕まえる。 操縦席には眼帯つけたアスカがいる。 アスカは、前作「破」では、使徒に侵食され、シンジの初号機にツブされていた。 そのアスカが復活していたのだ。 眼帯をつけたアスカの演技とアクションが、作品の見せ場の一つとなる。

主人公・シンジは、14年ぶりに目覚める。 変わり果てた世界に衝撃を受ける。 自分が眠っている間に、大災害「サードインパクト」が起きていたのです。 サードインパクトが原因で地球は荒廃していた。 人口も激減していた。 所属していた特務機関「ネルフ」は解体されていた。 仲間のミサトらは、新組織「ヴィレ」を結成していた。 ヴィレは、シンジの父が率いる旧ネルフ側と敵対していた。

そして、シンジは14年前に自分が「サードインパクト」を引き起こしたことを知る。 絶望したシンジの前に、謎の少年・渚カヲルが現れる。「2人でなら世界の修復も可能だ」とシンジを励ます。

作品に対する評価は、賛否が分かれた。 1995年のテレビ版以来、謎が多かった。 その謎が解けるどころか、さらに深まった。 ネットでは、説明を省いた展開に「難解過ぎる」などの否定的な声も出た。 作品の謎の考察が活発に行われた。
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

(2009年6月)

Amazonビデオ→
108分。
総監督・脚本:庵野秀明
監督:摩砂雪、鶴巻和哉

前作「序」は、テレビシリーズの筋をなぞった感の強かった。 しかし、本作「破」では、新キャラクターが登場した。 物語にも変化が生じた。 とくに、ラストで一転する。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

(2007年9月)

Amazonビデオ→
98分。
新劇場版は、エヴァの生みの親である庵野秀明監督が1995~1996年のテレビシリーズを基に、新作カットも加えて4部作に再構成。テレビ版とも1997年の劇場版とも違う結末を描く。謎をはらんだまま終わり「神話化」された「エヴァ」だが、「今度はきちんと決着をつける。真の完結になる」と大月俊倫プロデューサーは明らかにした。

大月さんは当時「テレビ版のようにメタフィクション的な終わり方でけむに巻いたり、劇場版のように世界が終末を迎えるような不条理なラストにしたりはしない。エンターテインメント志向で、企画当初の構想に近いラスト。ずっとやりたかったが、監督がようやくその気になってくれた」と語っていた。

新劇場版では、庵野(あんの)秀明総監督が社長を務める「カラー」が制作や宣伝をほぼ一手に引き受け、大手広告代理店や配給会社を通さない「インディーズ映画」の手法を採用した。

総監督・脚本:庵野秀明
監督:摩砂雪、鶴巻和哉

■ 旧3部作

題名、公開日、動画配信 概要
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 DEATH (TRUE)2/Air/まごころを、君に

(1998年3月)

Amazonビデオ(DEATH (TRUE)2)→
160分。
総監督・脚本:庵野秀明
監督:摩砂雪、鶴巻和哉
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に

(1997年7月)

Amazonビデオ→
87分。
総監督・脚本:庵野秀明
監督:鶴巻和哉
新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生

(1997年3月)
99分。
総監督・脚本:庵野秀明
脚本:薩川昭夫
監督:摩砂雪、鶴巻和哉




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新世紀エヴァンゲリオン ヤマト以来”空前”アニメ マニア先導時代の産物

1997年2月10日、産経新聞

『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』以来の大ヒットアニメと騒がれているのが、『新世紀エヴァンゲリオン』だ。CDがヒットチャートの首位を獲得するなど関連商品は爆発的に売れ、1997年3月15日には映画も公開される。これはもう社会現象の様相だが、それが、いまのヒットの構造なのだという視点から、この“エヴァ”をとらえると時代がなんとなく見えてくる。

ケタ違い

ヒットといわれる根拠は、200億円にのぼるとされる関連商品の売上数字だ。レーザーディスク(LD)とビデオ(いずれもキングレコード)は、全13巻のうち10巻まで発売され、各巻が20万-23万本(うちLDが65%)ずつ売れている。アニメビデオの平均売り上げは3万本だからケタ違い。

サントラCDは、5種類を発売し、そのうち『NEON GENESIS EVANGELION III』(キングレコード)は、音楽専門誌『オリコン』のヒットチャートで首位を獲得した(1996年(平成8年)6月3日付)。アニメのCDが首位になったのは『銀河鉄道999』以来17年ぶり。主題歌「残酷な天使のテーゼ」(キングレコード)のシングルも、最高17位に入った。

キングレコード(東京都文京区)によると、このほか、家庭用テレビゲーム・ソフトなど約600種類の関連商品の売上合計は約200億円にのぼるという。

個人的な出発

この“お化けアニメ”は、そもそも庵野(あんの)秀明監督(36)がキングレコードの大月俊倫・制作部長(35)に企画を持ち込んだことから始まった。そして実は、庵野監督が所属し、エヴァの企画・原作を担当するアニメ制作会社「GAINAX」(東京都武蔵野市)が経営難に陥ったため、起死回生を狙った企画だった。

「監督の才能にほれ込んでいた」こともあり、大月部長は企画の内容を問わずに会社を説得し、資金調達に走って制作にこぎつけた。サラリーマンとしては危険な綱渡りだったが、「私は野心家ではありませんが、冒険家なんですね」と笑う。エヴァは2人の“謀議”から生まれたようなものだ。

低視聴率

『新世紀エヴァンゲリオン』は1回30分のテレビシリーズとして、1997年(平成7年)10月から1998年(平成8年)3月までテレビ東京・大阪系で放送されたが、平均視聴率は7・1%とふるわなかった。

西暦2015年。人類を攻撃する「使徒」に対抗するため、「特務機関ネルフ」という組織が「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」を作り、碇シンジという14歳の少年が操縦して戦う。

物語の骨格は分かりやすいが、表現手法などが、テレビアニメのお得意客である子どもの理解を超えていた。残酷さ漂う戦闘場面、父母から苦情の電話もかかったベッドシーンなどは序の口。30分のほとんどを、独白と抽象的な映像でシンジ少年のかっとうを描くことに費やしたこともあった。エヴァンゲリオンはロボットなのか生物なのか-を筆頭に、多数張りめぐらされたなぞも複雑。そして、それらのなぞが何1つ解決されぬまま最終回を迎えた。

経済の主体

しかし、この難解さと未解決のなぞが、放送後半から終了にかけて熱狂的な固定ファンを生み出した。彼らはインターネットのホームページで、独自のなぞ解き、情報交換に熱をあげた。手がかりをつかみたい。独自の解釈を施したい。LDなどが売れたのはこの“余波”。もっとも、こうした熱烈なファンの数は限られているはずだ。

よく『宇宙戦艦ヤマト』(1977年(昭和52年)公開)と『機動戦士ガンダム』(1981年(昭和56年)公開)が、比較の引き合いにだされる。テレビ放送中は視聴率がふるわず、放送終了後の人気で映画化されたアニメという点で似ているからだが、大月部長は、大衆の支持を集めたヤマト、ガンダムとエヴァは異なると考えている。「エヴァを支持するのは、“おたく”とよばれる人たちでしょう」

大月部長は、“おたく”がクローズアップされた1989年(平成元年)の幼女連続誘拐殺人事件から最近の家庭用テレビゲーム人気へと続く、ガンダムからエヴァまでの間の若者社会の変化を指摘する。「エヴァの支持層は昔ならいわば日陰の存在です。が、いま経済の主体を握っているのは彼らなんです。東京・秋葉原の電気街にお金を落としていくのは、ゲームマニアである彼らでしょ」

国民的な広がりをもつのではなく、一部の熱狂的支持者が集中的な消費行動を起こすのが、いまの時代のヒット構造だ。「たまごっち」「プリント倶楽部」、最近のヒット曲…なども同様。「“個衆”の時代というんでしょうか、その意味ではエヴァは時代の産物でしょうね」

決着

話は戻るが、大月部長は、庵野監督と『新世紀エヴァンゲリオン』を作るにあたり、(1)対象は、小学校中学年から高学年(2)人間は死ぬ。裏切られる。独りぼっちになるが、それでも生きるのだというメッセージを込めるため、時にはしんらつな表現をも避けない-という方針を立てていた。「苦くても、子どもたちには薬を飲ませようと思いました」と大月部長。

ところが、薬を飲まされたのは大月部長のほうだった。庵野監督は、リアリズムにこだわり、妥協を許さず、精神分析、哲学性、果ては宗教観に近いものまでをぶち込んだ。大月部長は、大胆な表現手法に仰天したスポンサー、テレビ局からの突き上げの“防波堤”になってかけずり回った。

未解決のまま終わったテレビシリーズの解決編に位置づけられる映画『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』は、それでも作品に口出しをしなかった大月部長のただ一度の要望だ。「監督の頭の中だけで決着つけちゃいかんと考えました。ただ、監督は当初からストーリー志向ではなかったし、映画でもなぞの解明なんてないんじゃないかと…まあ、いい決着かどうかは見た人の判断です」

芸術家肌の庵野監督は、映画の製作になかなかとりかからず、1997年3月15日公開という“締め切り”が先に決められた。果たして決着がつくのか。大月部長のサラリーマンとしての冒険はまだ続く。

再放送中

映画『シト新生』公開に向けて、テレビ東京は1997年2月1日から公開日の3月15日まで『シネクラブ』(土曜深夜2時55分)の枠で再放送をしている。系列各局でも、それぞれ独自の時間帯に再放送中。

2月21日には映画主題歌「魂のルフラン」(歌は高橋洋子)が発売される。2月下旬から4月にかけて関連書籍やゲームソフトも発売。

テレビシリーズから14本をセレクトした上映会が2月23日午後3時半から東京・渋谷公会堂。3月7日午後11時半からは、東京・新宿ミラノ座で、テレビから10本のセレクトのほか、映画の試写も兼ねたオールナイト上映が行われる。

映画は全国120館での上映が決まっている。これは、ディズニー映画と同じ規模だ。



アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」 公開直前「1本に収まりきれず」続編製作決定

1997年2月25日、産経新聞

1997年3月15日公開予定のアニメーション映画『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』の“続編”が夏に公開されることが決まった。庵野(あんの)秀明監督の構想が膨らみすぎて、春作品だけで収拾がつかないため。製作の角川歴彦・角川書店社長と庵野監督が2月14日に会見して明らかにした。

アニメーション映画『新世紀エヴァンゲリオン シト新生』は、テレビ放送(1995年(平成7年)10月-1996年(平成8年)3月)分のダイジェスト版「Death」編と新作「Rebirth」編の2部構成で製作が進められているが、庵野監督は「Death」だけで30分の新しい場面を加えた。

このままいくと、延べ約2時間40分の大作になる見込みで、一度の上映には長すぎると判断。春作品は「Rebirth」編を27分に抑え、全体で99分にし、夏にその完全版を上映する。

春作品で大団円を期待していた観客を裏切ることになるため角川社長は「一度は製作辞退も考えたが、『Rebirth』の脚本がすばらしく、作品を葬り去ることのほうがファンに申し訳ないと判断した」と説明した。新編の完全版である夏作品だけを見たいファンは、春作品の前売り券を使える処置をとる。

「すいません、ということですね。完成した脚本を見たら、ああ、こんなに延びたかということなんです」とは、会見を申し出た庵野監督の“謝罪”の弁。テレビは、物語に仕掛けられた多数のなぞが未解決のまま放送終了。それがかえって熱狂的なファンを生み、最大の関心事でもあるが、庵野監督は春作品で「なぞの大半は説明がつけられるはず」という。夏公開作品で物語としての完結を目指す意向のようだ。

寝耳に水だったという配給元の東映は「庵野監督との仕事は初めてのうえ、アニメの製作進行はよみにくい」と戸惑いながらも130以上の上映予定映画館にファクスで事情を伝えるなど対応に追われた。もっとも、ファンの間では芸術家肌で知られる庵野監督らしいとの声が強そう。

徹底した心理描写などが特徴の『エヴァンゲリオン』は、熱狂的なファンがおり、関連商品の売り上げは総額200億円にのぼる。



ブームが映す病んだ世代 アニメ「エヴァンゲリオン」完結編公開

1997年7月19日、朝日新聞

社会現象ともいえるブームを巻き起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の劇場版「Air/まごころを、君に」が1997年7月19日、公開された。多くのなぞを残したまま放置されていたテレビシリーズ(1996年3月放映終了)の完結編。「自分にとって、終わらせることが唯一の目標だった」と語る庵野(あんの)秀明監督(37)が、2年間にわたる「エヴァ」との闘いを振り返った。

「主人公のシンジは自分自身」と監督はいう。エヴァは一見、SF“ロボット”アニメだが、登場人物それぞれの「他者とのかかわり合い」ともいえるテーマが根底にある。傷つきやすい14歳の少年シンジは、常に人と深く接しないことで自分の居場所を守り続けていた。

「テレビ版の時から、自分と他者との関係を問い直す意味で、もやもやとしていたものをすべて出したかった。でも、ここまで受けると思わなかった。みんな病んでいるんだなあと驚いています」という。「今回の映画も、フィルターはかけてありますが、私的なものを、こんなに出していいのかと思っています」

テレビ版終了後から熱狂的なファンを生み出し、ビデオや関連書籍をはじめ、キャラクター商品は、出せば売れた。監督のメッセージへの共感者だけでなく、自己流の作品分析やキャラクター偏愛を持つ、いわゆる「オタク」も多く生み出した。

映画ではオタク批判ともいえるせりふが放たれ、人気キャラクターの顔はゆがみまくる。「オタクへのいらだちですかね。オタクは変化を求めないし、他者とかかわり合わない。僕もオタクだけど、他者とかかわりあいたい。映画の後半はそんな葛藤(かっとう)から成り立っている」

エヴァは聖書や精神分析学からの言葉を多用、映像手法でも、過去の映画などからの「引用」が数多く指摘された。しかし監督は否定する。「これだけ情報があふれている時代に、オリジナルなんてどこにあるのか。様々なものからイメージをとりこんで、それをどこまで広げて再構築するか、なんですよ」 さらに、「ぼくらの世代の作り手はテレビと漫画に影響を受け、呪縛(じゅばく)から逃れられない。前の世代は映画、そして文学。若い世代はゲーム。彼らもきっと呪縛に気づく時がくる」という。

いま、次の作品「ラブ&ポップ」の製作に入っている。村上龍の作品「ラブ&ポップ」の実写での映画化だ。「アニメでは当分、エヴァ以上のことはできない。冷蔵庫の材料全部使ってしまったから。今回は新たにそろえなくても、原作という材料はある。アニメとの決別ではないんです。河岸を変えるという感じかな。やっぱり好きだから、次はまた、アニメに戻るかもしれません」

「Air/まごころを、君に」は全国洋画系で。1997年3月公開の劇場版「シト新生」の続編で、「物語を放棄した」などと論争を巻き起こしたテレビ版の最終2話を作り直した作品でもある。「人類補完計画」といった数々のなぞが解明され、シンジの心の旅路の結末が描かれる。

「シト新生」はテレビ版を見ていない人から「わけがわからない」といった声もあった。テレビ東京は7月24日から深夜に4夜連続で、全26話を再々放送する。



アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」完結編公開 実写入れ現実感出す

1997年7月25日、読売新聞

テレビ放送を機に、ブームを起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の完結編の映画「Air/まごころを、君に」が公開されている。原作・総監督の庵野秀明に話を聞いた。

少年少女がロボットに乗り、使徒と呼ばれる、なぞの存在と戦うSF物語。心理学や宗教の難解なテーマを取り入れ、なぞを残したままテレビ放送は終了。1997年春公開の映画でも完結が先送りされたため関心が高まり、独自の解釈をまとめた本が相次いで出版されるなど、社会現象にもなった。

「テレビを見てくれた人への最後のサービスと思って作った」と話す通り、物語は一応、終結する。人間同士の心のかっとうや自我の問題をロボットSFの形を借りて描いたことが明らかにされるが、その理由を「おいしい料理でも見た目がまずそうだと、はしをつけてもらえない。見てもらうためには、外見をおいしそうにみせなければ」と説明する。

今回は実写映像を挟み込むなど実験的な手法も用いた。「実写の方がより現実に近い存在感が出せる。だからアニメに実写を挟むしかないと思った」

宮崎駿監督「風の谷のナウシカ」の作画の一部を担当して注目を集め、テレビアニメ「ふしぎの海のナディア」などを手掛けてきた37歳。次回作は、少女の援助交際を描いた村上龍の小説「ラブ&ポップ」。実写での映画化で、「アニメでやりたいことは、ひと区切りがついた。1998年初めには公開したい」と話している。



「エヴァンゲリオン」過熱 アニメ批評も深化 フェミニズム、精神分析の視点

1997年8月16日、読売新聞

「14歳」着目したアプローチも

20代から30代の“オタク世代”に熱狂的ブームを巻き起こしたテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」。公開中の映画版完結編が大ヒット、出版の方でも関連本が何十冊も出る過熱ぶりだ。最近では本格的な評論も登場し、アニメにとどまらない文化批評としての深まりを見せはじめている。

「エヴァンゲリオン」の舞台は2015年。14歳のシンジ少年らが生体兵器エヴァンゲリオンに乗り、人類の敵「使徒」と戦うストーリーだが、キリスト教的神秘主義をベースにしたなぞめいた設定が多く、それが活字の「関連本」への需要に結びついている。

「エヴァンゲリオン研究序説」(KKベストセラーズ)、「新世紀エヴァンゲリオンの謎」(KKロングセラーズ)はともに30万部をマーク、他の本も軒並み万単位で売れており、出版社側はほくほく顔だ。

「なぞ解き本」だけでなく、最近は本格的な評論が立て続けに出始めた。「聖母エヴァンゲリオン」(小谷真理著、マガジンハウス)、「ターミナル・エヴァ」(永瀬唯編、水声社)、「エヴァンゲリオン快楽原則」(五十嵐太郎編、第三書館)などは、サブカルチャー評論、社会批評としてもかなり読みごたえのある内容になっている。

「聖母--」の小谷さんは、フェミニズム批評を駆使する気鋭のSF評論家。主人公シンジ少年に、最近の「男の子の女の子化」傾向を感じるという。「1970年代は少女が少年化しましたが、1990年代に逆転現象が起こった。“女々しい男”シンジ君は男性からも女性からも二重に疎外される存在で、彼にシンクロするファンが多いということは、今の男性は閉塞(へいそく)感が強いんだなあと思う」

また、この作品を日本の「近代家族制度」への批判としてとらえたのが「ターミナル・エヴァ」の永瀬さんの評論。シンジの乗る「エヴァ」には実は母の魂が封印されており、独裁的な父・ゲンドウ司令官による「フロイト/ラカン的な家族神話、西欧的な男根中心主義」が、凶暴なけものとしての母(エヴァ)の覚醒(かくせい)でうち砕かれる物語だと指摘する。

こういったフェミニズム的視点のほかに、精神分析からのアプローチも多い。精神科医の斎藤環さんは、「ターミナル・エヴァ」の中で、シンジ少年が神経症の1種である「境界性人格障害」であると診断、ファンと作者の間にもそういった神経症的関係が成立している、と興味深い分析をしている。

14歳の病理というテーマは、偶然とはいえ、やはり神戸の衝撃的な事件を連想させる。「エヴァンゲリオン限界心理分析」(速水栄+サーフライダー21、ネスコ/文芸春秋)はその「14歳」という年齢に焦点を当てる。実際、神戸の事件以後、「エヴァ本」がさらに売れるようになったという出版関係者の証言もある。

さらに、「--快楽原則」にはオウム真理教とからめた評論も収録されており、このアニメの特異な同時代性を感じないわけにはいかない。「10年前に村上春樹が全共闘世代に語られたように、『エヴァ』がオタク世代の批評家によって語られている」と小谷さんは指摘する。

1997年夏、もうひとつの大ヒット映画に「もののけ姫」があるが、1996年「ジャパニメーション」特集を組んだ雑誌「ユリイカ」(青土社)が、今度は「宮崎駿の世界」で臨時増刊を出した。「見た者みんなが何かを語りたくなる」2作品の出現で、確かに、アニメ批評は文化論への高まりを見せはじめている。



謎解けるか「真の完結編」 「エヴァンゲリオン」再映画化

2006年9月13日、朝日新聞

1990年代後半に大ヒットしブームを巻き起こしたアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」が、再映画化される。生みの親である庵野秀明監督が1995~1996年のテレビシリーズを基に、新作カットも加えて4部作に再構成。テレビ版とも1997年の劇場版とも違う結末を描く。謎をはらんだまま終わり「神話化」された「エヴァ」だが、「今度はきちんと決着をつける。真の完結になる」と大月俊倫プロデューサーは話す。

「テレビ版のようにメタフィクション的な終わり方でけむに巻いたり、劇場版のように世界が終末を迎えるような不条理なラストにしたりはしない。エンターテインメント志向で、企画当初の構想に近いラスト。ずっとやりたかったが、監督がようやくその気になってくれた」と大月さん。

「エヴァ」は、形も能力も様々な正体不明の敵「使徒」を倒すため、国連の特務機関「ネルフ」によって「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」のパイロットに選ばれた少年少女の闘いと苦悩を描いた物語。

設定やデザインの斬新さ、トラウマ(心の深い傷)ゆえに対人関係に苦しむ心理描写などと並んでファンを引きつけたのが、劇中にちりばめられた数々の謎だ。だが使徒の正体、人類との関係、ネルフの本当の目的といった謎に明快な答えを示さないまま放映が終了。ファンの間で熱い論議が起こった。

テレビ版のビデオ・DVD売り上げは累計450万枚、今も連載中のマンガ版は累計1500万部。ゲームやパチンコも人気だ。

2007年夏から順次全国公開する第1~3作は、現存する原画を再利用し新場面も加えて撮り直す。「映像の迫力はかなり増す」と大月さん。例えば、日本中の電力を使って使徒に一撃を加える場面は、新たに「日本沈没」の樋口真嗣監督が絵コンテを担当。「CGも使い、日本全体が停電していく様が、かなりのスペクタクルシーンになるはず」

新ラストを描く第4作は完全新作で約45分。2008年夏に第3作と同時上映する予定だ。



漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」 謎と愛憎、心の動き丹念に

2010年7月12日、朝日新聞

天変地異により滅亡にひんした2015年の地球、「使徒」と呼ばれる奇怪な巨大生命体が襲来する。科学の粋を集めた巨大ロボット「エヴァンゲリオン」が迎え撃つが、搭乗できるのは特別な資質を持つ14歳の少年少女だけ。操縦は、エヴァと搭乗者の脳神経を接続して行い、精神崩壊の危険が伴う。人類の命運を背負わされる重圧に、内向的な主人公・碇(いかり)シンジの心は千々に乱れていく。

使徒の目的は何か。エヴァは機械か生物か。進行する人類補完計画とは。数多くの謎と、エヴァを取り巻く人々の愛憎と屈折を絡めつつ物語は進行する。マンガ版ではシンジが父・ゲンドウに捨てられたと感じた契機、ゲンドウが息子に愛情を示さぬ理由など、心の動きを丹念に描く。謎の断片を思わせぶりにちりばめたテンポのよさを持ち味とする原作アニメとは好対照だ。

テレビ放映、映画、リメーク、マンガと、本作にはいくつものバージョンがあり展開や描写が異なる。だがそこから浮かび上がるのは同じ問いかけだ。人は他人と完全には分かりあえない。なのになぜ他人を求めるのか。誰もが経験する痛みを思春期の主人公らに託し、バブル崩壊やオウム事件など社会が息苦しさを増す時代に突きつけた本作は、“今を生きる私たち自身の物語”として、世代を超え愛され続けている。

漫画版「新世紀エヴァンゲリオン」

GAINAX制作・庵野秀明監督のアニメを原作に、キャラクターデザイン担当の貞本義行がマンガ化。1994年末から角川書店「少年エース」、現在は「ヤングエース」に連載。



物語の奥深くへ エヴァンゲリオン展 北九州で

2013年10月20日、朝日新聞

巨大兵器に乗り込んだ少年少女が、人類の存亡をかけた戦いに挑む人気アニメ「エヴァンゲリオン」。その魅力を解き明かす本格的な展覧会が、北九州市・北九州市漫画ミュージアムで開かれる。「新劇場版」シリーズから名場面の生原画など約300点が出品されるほか、精緻(せいち)なアニメ制作の舞台裏をコンテやレイアウトなど約1000点の資料展示でひもとく。アニメ評論家の氷川竜介さんに、「エヴァ」と展覧会のみどころについて語ってもらった。

精緻な技に「人の魂」 アニメ評論家・氷川竜介

「エヴァ新劇場版」とは、2007年から全4部作予定でリリース中の劇場用映画である。物語は過去の作品と同じ登場人物・設定で始まるが、次第に違う要素が現れていく。特に完全新作の第3部「Q」は観客を驚異と興奮へと導き、興行収入50億円を超す大ヒット作となった。

あらゆる要素が「普通とは違う感覚」を放ち、しかも強烈な美意識で染めぬかれている――エヴァの魅力は、そんな独特の強さをそなえたデザインに集約される。そのパワーは「人とは何か」という哲学的な主題とも響きあい、閉塞(へいそく)感を打ち破って新しい視点を提示してくれる。

今回の展覧会では「エヴァ」を改めて≪素材≫に分解し、有機的な相互関連が際立つように配置している。アニメーション映像になると全要素がトータルで動き出し、途中過程は見えなくなる。だが設定書や原画、美術ボードなどのプロセスからは、その奥深くにある細密さがグッと心に迫ってくる。注目したいのは、手描きの画(え)やCGに宿る「人の魂」だ。人間の想像力を具体的な《動く画》に変換していく手業の妙味と神秘。そこにこそ「エヴァ」を希有(けう)な作品にした秘密が見える。それは「人の魂」の所在を求める物語内容ともシンクロするものだ。

エヴァンゲリオン

庵野(あんの)秀明氏を監督に、1995年にテレビシリーズの放映が開始。14歳の少年少女が巨大な人型人造兵器「エヴァンゲリオン」に乗って謎の生命体「使徒」と戦う物語。

綾波レイや碇(いかり)シンジら登場人物、質の高い映像が圧倒的な人気を獲得し、人気が社会現象化した。

2007年に長編アニメーション映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズがスタート。第1部「序」、第2部「破」に続く第3部「Q」が2012年秋に公開され、進化を続ける映像表現とファンの予想を超えたストーリーが話題となり、動員380万人を記録した。

現在、「新劇場版」シリーズの完結作となる第4部「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の公開に向けて制作が進行している。